こんにちは、Kaiです。
医局とは大学医学部の臨床・研究・教育・人事を担う組織です。
医局に所属することで、最新の臨床や研究に携わることが出来るなどのメリットもある一方で、雑用や人事に関わるしがらみも多いことから、医局を辞めたいと思う人も少なくありません。
今回は、医師が医局をやめる理由について考察してみたいと思います。
医局を辞める前向きな理由
開業するから
ネガティブでない理由として最もメジャーなのは開業でしょう。
医局に籍は残っていて、開業後も医局の同窓会などに出席することが多いと思います。
この場合、大学-クリニック間で互いに患者さんを紹介し合うなど、良好な関係のまま医局人事を離れることができます。
出産や介護などのライフイベント
開業の以外にも、結婚・出産・介護・病気などのライフイベントも、やむを得ないという点ではある意味前向きな理由です。
この場合も医局に籍は残ることが多いと思います。
医局を辞めるネガティブな理由
給与・労働環境に不満があるから
大学病院に勤務する医師の給与は一般病院と比較して低いことが多いです。
(外部記事) 大学病院の医師の年収は低い?その他の勤務医と年収を比較した結果
「無給医問題」が少し前に報道されましたが、特に若手の医師の場合、完全な無給とまでは行かなくても大学からの給与はかなり少なく、バイトで生活費の大部分を稼いでいることが多いです。
バイトは働いた分きっちり給与が出ますが、大学病院での職位は非常勤職員であることが多く、激務である割に残業代が出ないところが多いでしょう。
また、大学病院では最先端の臨床・研究が行われていることが多いですが、自分がそこに携わることができるかはまた別の問題です。医局員が多すぎたりすると、なかなかチャンスが巡ってこない可能性もあります。
こうした医局・大学病院の労働環境を不満に思う人は少なくありません。
医局の人間関係が嫌になったから
一般病院と比べて、大学医局は閉鎖的な環境であることが多いです。
一緒に働くのは同じ診療科の医師だけで、他科との付き合いはほぼないことも多いです。
上司や同僚に恵まれれば良いですが、苦手な人がいると辛いことになります。
大学でのこれ以上の昇進が望めそうにないから
教授はもちろん、それより下のポジションである准教授・講師・助教といったポジションにはどれも定員があります。
そういった役職に就けるかどうかは、臨床・研究の業績など個人の能力だけではなく、上司との人間関係、教授の交代や他の医師の退職のタイミングなど様々な要素に左右されます。
役職を狙える業績がない、役職に就いている他の医師が当分やめそうにない、大学での自分の任期が切れてしまう…といった理由から医局を辞める人も多いと思います。
医局を辞めること=ドロップアウトではない
本当は辞めたいと思っているのに、無理して医局に残り続けることは辛いことです。
大事な時間を喪失していることに他なりません。
雑用に時間を費やしたくない、自分の好きな仕事に専念したい、家族との時間をもっと大事にしたい、同じ時間働くのならもっと収入を得たい…
そう思うことは全く恥ずかしいことではありません。
医局を辞めることはドロップアウトではなく、自分の人生の中で有意義な選択の一つなのです。
医局を辞めると困ることがあるか?
よほど険悪な状態での退職でない限り、「この医局を辞めるなら、この辺りの病院では働けなくしてやる…!」といった、ドラマみたいなトラブルになることは、今の時代まずないでしょう。
医師紹介会社経由での転職の場合、医局とのしがらみはないので、転職に支障をきたすことも考えにくいです。転職活動の際にも、○○大学系の病院はNGなど、条件をつけて探せば良いだけです。
専門医関係は取得してから辞める方が色々と楽なものの、一般病院でも専門医は取れますし、そもそも専門医が必要かどうかも議論が分かれるところです。
医局を辞めたとしても、医師として生きていくには特に困らないと思います。
医局を辞めるには
順番を間違えないようにしましょう。
- 転職先を見つける
- 上司に退局を申し出る
- 教授と面談する
の順です。個別にみていきます。
転職先を見つける
病院やクリニックのホームページにも採用情報が掲載されていますが、自分ひとりで一から募集要項を比較検討したり、応募をするのでは大変です。
医師紹介会社に登録して希望の条件を伝えましょう。
例えば2022年4月での転職を考えているとしたら、転職活動は大体以下のようなスケジュールになると思います。
2021年4月〜 次の年度の求人が出始めるので、良い案件があれば見学へ
2021年夏頃 面接 → 内定
良い求人は早く充足してしまうものなので、早めにスタートするのが望ましいです。
上司に退局を申し出る
転職先の内定をもらってから、直属の上司や、医局人事を調整している先生(多分医局長という肩書きになると思います)に退局の意思を伝えます。
退局に際しては、理由をぼかす必要はないでしょう。
育児とか介護を理由にすると、仕事の負担の軽減などを条件に引き止められてしまう可能性があります。
しかし、多少譲歩されたところで負担が未来永劫なくなるわけではありません。
そもそも医局自体が嫌で退局を考えているわけなので、他の病院で働きたい旨をはっきりと伝えれば良いです。
転職先を先に決めておくのには理由があります。
- 引き止められても、行き先が決まっている方が断りやすいため
- 先に退局を申し出たものの、良い転職先が見つからないリスクを避けるため
の2点です。
売り手市場の医師の転職活動においては、転職先がまったく見つからないということはまずないでしょう。
しかし、より良い条件の転職先を見つけるには、複数の医療機関をよく吟味する必要があります。
焦って今ひとつの条件のところしか見つからないようでは勿体ないです。
教授と面談する
退局の際、最後は教授と面談することになる医局が多いと思います。
転職先が決まっていて、退局の意思が固いことが医局長に伝わっていれば、それ以上無理に引き止められるということはそうそうないと思います。
また、上でも述べた通り、転職先を医局と無関係な病院にすれば、その後いざこざが生じるリスクもないでしょう。
いずれにしても話がこじれないように、真摯な態度で面談に臨みましょう。
まとめ
「医局でないとできないこと」がないのなら、無理をして医局に残る必要はありません。
自分の納得できる環境の転職先を見つけて、充実した医師ライフを送りましょう!